2018年9月27日
全国の自治体に昨年1年間で納められた「ふるさと納税」の総額を総務省が発表しました。それによると、295万9千人が総額で3,482億円のふるさと納税をしていました。
前年と比べるとふるさと納税をした人は約30%増えていて、総額も約25%増えています。驚くことに5年前の実績を見てみると、ふるさと納税をした人は10万6千人で、総額は130億円でした。ふるさと納税の人気の高まりが急上昇していることが分かります。
ふるさと納税は、故郷や応援したい自治体に寄付できる制度で、原則として寄付金から2千円を引いた額が所得税や住民税から控除される仕組みになっています。今回は2017年の寄付実績から、地方税である住民税の控除額を算出。ふるさと納税で控除される住民税は、全国で約2,448億円にのぼりました。前年に比べて37%も増えています。
都道府県別では、東京都内の控除(流出額)が約645億円で最も多く、しかも、その流出額は前年よりも約180億円も増えました。第2位の神奈川県の流出額は257億円と、約70億円膨らんでいます。そのため、大都市圏の自治体からは「行政サービスに影響が出かねない」との悲鳴が聞かれます。
ふるさと納税を巡っては、自治体が高額返礼品を用意し、寄付集め競争が過熱するといった問題が浮上。2017年4月に総務省が大臣通知で、各自治体に「良識のある対応」を要請し、返礼品を寄付額の3割以下にすることなどを求めたという経緯があります。
2018年8月29日
京都市が、今年10月から徴収を開始する宿泊税を活用した助成金制度を創設しました。8月1日から(公社)京都市観光協会を通じて、「市観光協会インバウンド助成金」という名称で交付先の募集を始めることにしています。
「市観光協会インバウンド助成金」は、現金を用いずにスマートフォンなどで料金の支払いができる決済システムや無線通信環境の整備、外国語によるメニューや案内の表示、ムスリム(イスラム教徒のこと)やLGBT(性的少数者)への対応、AI(人工知能)などの情報通信技術を活用したマーケティングなどに係る費用に対して助成する制度です。京都市では「幅広い支援を通じて、外国人観光客の満足度向上、市内全域でのインバウド需要取り込み強化をサポートしていく」としています。
助成率は対象経費の2分の1以内で、1件の上限額は20万円です。助成金の交付決定後、来年2月末までに事業を完了することが条件。申請受付期間は来年1月末までですが、先着順で審査して予算額の800万円に達し次第、募集は締め切られることになっています。
2018年7月23日
全国の国税局・税務署が今年6月までの1年間に収集した税務調査関係資料が、法定調書を含め全部で5億1,432万枚にのぼったことを国税庁が明らかにしました。
所得税や法人税など国税に関する税務調査は、質問検査権を使った任意調査が基本です。したがって、納税者と相対峙するとき、入念な下調べこそが不正を暴く最大のカギとなるわけです。
そのためにも、全国の国税局・税務署では、納税者から提出された確定申告書だけでなく、給与所得の源泉徴収票や配当等の支払調書などの法定調書のほか、調査の際に把握した情報など、あらゆる機会を通じて様々な資料情報を収集しています。
その収集した資料情報について、このほど、国税庁が具体的な収集量を明らかにしました。平成28事務年度(平成27年7月から平成28年6月)では、法定調書が3億6269万枚(前事務年度3億3533万枚)で、それ以外の資料は1億5163万枚(同1億3010万枚)、合計で5億1432万枚(同4億6543万枚)でした。
国税庁では「収集した資料情報を基に国税当局は的確な調査・指導を実施している」としています。特に、最近は「経済取引の国際化、ICT化等の進展や不正形態の変化に常に着目し、新たな資産運用手法や取引形態を把握するため、海外投資や海外企業との取引に関する情報、インターネットを利用した電子商取引などの資料情報の収集に取り組んでいる」とし、また、いま注目されている「仮想通貨やシェアリングエコノミー(民泊など)」に関する取引についてもマークしている」と説明しています。
2018年7月23日
国税の新規滞納事案を効率的に整理している集中電話催告センター室(納税コールセンター)の最新の実績が明らかになりました。国税庁によると、電話催告を行った83万者のうち72%が滞納税額を完納しているとしています。
納税コールセンターは、全国の国税局に設置されていて、新規発生滞納事案、特に大量に発生する少額滞納事案を効率的に処理するため、各税務署で行っている文書または電話による納付しょうよう事務を最新のコンピュータ技術を駆使した「集中電話催告システム」により集中的に滞納整理を行っている部署です。
この納税コールセンターの最新の実績を国税庁が明らかにしました。平成28年7月から平成29年6月末までの1年間に電話催告を行ったのは83万1037者で、その72%に当たる59万9032者が滞納税額を完納したとしています。
国税の滞納額は、平成10年度に2兆8149億円まで達しましたが、その後、国税庁による「大口・悪質事案及び処理困難事案に対する厳正・的確な滞納整理」「滞納の新規・早期処理を念頭に置とともに、滞納額の多くを占める消費税滞納事案の重点的な処理を実施すること」などといった対策で徐々に減少していきます。平成28年3月末現在の滞納残高は9774億円まで減り、平成29年3月末時点の滞納税額は約8971億円となっています。
納税コールセンターによる電話催告も、こうした滞納整理の一端を担っていると言えます。
2018年7月17日
大阪府が、今年10月1日から民泊施設にも宿泊税を課税すると発表しました。宿泊税は東京都や京都府なども導入していますが、民泊施設を課税対象にしたのは大阪府が初めてです。
「民泊」とは、一般的に自宅の一部や全部、または空き別荘やマンションの一室などを他人に有償で貸し出すことで、民泊施設を営むには旅館業法に基づく営業許可が必要とされています。
大阪府は住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行など最近の情勢変化を受け、宿泊税の課税対象を民泊施設まで拡大しました。今年3月23日に大阪府の宿泊税条例を改正、宿泊税の課税対象となる施設に、住宅宿泊事業法に係る施設を追加するとともに、地方税法に基づき総務省と協議を行ってきました。
そして、大阪府は6月26日に宿泊税の対象に民泊施設を加えることについて総務大臣による法定外目的税変更の同意を得たとしています。民泊分を含め同税全体の収入は年7億7900万円を見込んでいます。
大阪府の宿泊税は、ホテルや旅館などの素泊まりの料金に課税することになっていて、税率は1人1泊につき、「10,000円以上15,000円未満」が100円、 「15,000円以上20,000円未満」は200円、「20,000円以上」が 300円となっています
2018年7月17日
個人が利用する場合のe-Tax(国税の電子申告システム)の使い勝手を良くするため、国税庁が来年1月から「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」を導入すると発表しました。
e-Taxは自宅や会社にあるパソコンを使ってインターネットを通じて国税の申告や各種届出、納税までできる便利なシステムです。ただ、個人がe-Taxの利用を開始するに当たり、少々難点がありました。現在、e-Taxの利用を開始するためには、事前に税務署長へ届出をし、e-Tax用のID・パスワードの通知を受け、それらを管理・入力する必要があります。
この手続きについて、来年1月からスタートするマイナンバーカード方式では、事前に税務署長へ届出をする必要もなければ、e-Tax用のID・パスワードの通知を受け、それらを管理・入力する必要もなくなります。
マイナンバーカードを用いてマイナポータルやe-Taxホームページなどからe-Taxへログインするだけで、e-Taxの利用が開始し、 申告データの送信ができるようになります。
一方、ID・パスワード方式は、 マイナンバーカード及びICカードリーダライタを持っていない人ために用意されるもので、税務署で職員との対面による本人確認に基づいて税務署長が通知した「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載された e-Tax用のID・パスワードのみで、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxによる送信ができるようになります。
この方式は、あくまでもマイナンバーカード及びICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な対応として設けられるものです。
2018年7月9日
今年4月2日にスタートしたJ-Debit「キャッシュアウトサービス」について、このほど国税庁がポスレジから打ち出される「レシート・キャッシュアウト明細書」と「口座引落確認書」に関する印紙税の取扱いを明らかにしました。
キャッシュアウトサービスとは、デビットカード(キャッシュカード)を用いて、買い物がてらに同カード取扱い店のレジで自身の銀行預金口座から現金を引き出すことができるサービスのことです。これまでデビットカードは、J-Debitのロゴマークの表示されている加盟店で利用者がCAFIS(NTTデータが提供している総合的なクレジットデータ通信サービス)を介してキャッシュカード発行金融機関に口座引き落とし要求を行うと、商品購入代金を即時引き落とすことができる機能しか有していませんでした。
それが、2017年4月に施行された銀行法施行規則改正に伴う規制緩和を受け、キャッシュアウトサービスも可能になったわけです。ところがここへ来て、加盟店がキャッシュアウト取引の利用者に対して交付する「キャッシュアウト明細書」と「口座引落確認書」に印紙税が課税される可能性があることが判明。キャッシュレス社会の実現を目指している「日本電子決済推進機構」があわてて、キャッシュアウトサービスに関連する印紙税の取扱いを東京国税局に問い合わせていました。
その際、同機構は「キャッシュアウト明細書は、利用者がキャッシュアウト取引のみを行った際に交付する書面で、キャッシュアウト手数料216円からこの金額に含まれる消費税等の金額16円を控除した『200円』を記載金額とする『売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書』(第17号の1文書に該当する課税文書です。ただし、当該記載金額が5万円未満なので、非課税文書となります。また、口座引落確認書は、加盟店がカード発行金融機関から支払代金の口座引落しの通知を受け、その金融機関に代わって利用者の口座からの引落し事実を通知する目的で作成したものであり、金銭の受領事実の証明以外の目的で作成したものと認められることから、課税文書に該当しません」とした見解を添えて質問をしていました。
これに対し東京国税局は、同機構の見解を容認する形で回答しています。
2018年7月9日
今年3月2日から公募していた「所得税基本通達の制定について(法令解釈通達)の一部改正(案)(競馬の馬券の払戻金に係る所得区分)に対する意見」が出そろい、その意見に対する考え方を国税庁が示し終えたことから、6月29日に同改正通達が公布されました。
そもそも競馬の馬券の払戻金については、一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できないとされていました。ところが、平成29年12月15日の最高裁判決で「馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」とされたことから、国税庁が通達改正により、その最高裁判決を踏まえた取扱いを新たに明示したわけです。
国税庁ではこの通達改正を行うにあたり、パブリックコメントを公募。全部で23通の意見が寄せられました。
具体的には、「そもそも馬券の払戻金に係る所得区分について、国の独自の見解に基づいて既存の通達を改正し、運用すること自体が恣意的。最高裁の判断を踏まえて案件ごとに適宜判断していくべきであり、本件通達は、改正することなく直ちに廃止すべき」といったものや、「通達改正案は、両最高裁判決で判示されていない内容で、かつ、最高裁判決以外の場合における馬券の払戻金はすべからく一時所得に該当するかのような記載になっており、最高裁判決の理解を離れた国税当局独自の見解であるため、削除すべき」という厳しい内容のものもありました。
これらの意見に対し国税庁は「一連の馬券購入行為が『営利を目的とする継続的行為』に該当すると認められる例外的な場合に限って、馬券の払戻金が雑所得に区分されると解しており、当該考えを明確にするためには、通達改正案は必要と考えています」などと返答しています。
2018年7月2日
このほど、国税庁が法人番号公表サイトに「法人番号公表サイト利活用事例」を掲載しました。同サイトから法人情報をダウンロードして、表計算ソフトを使って「新規設立法人の抽出」を行えば、営業先の開拓が効率的に行えることなどが紹介されています。
マイナンバー制度(納税者番号制度)の導入に合わせて政府が平成27年10月5日にスタートさせた法人番号制度は、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平公正な社会を実現するための社会基盤とされています。そして、国税庁が設置した法人番号公表サイトで、日本国内の全法人の基本3情報(①商号又は名称、②本店又は主たる事務所の所在地、③法人番号)を調べることができる仕組みになっています。
このほど、その法人番号公表サイトに「利活用事例」が掲載されました。その事例は「新規営業先等の把握の効率化」と「設立登記法人の閉鎖情報の確認」の2つです。
「新規営業先等の把握の効率化」は、いったん自分のパソコンに「法人番号公表サイト」から法人情報をダウンロードした後、ダウンロードしたファイルを表計算ソフト(エクセルなど)で開きます。そして、その表計算ソフトの機能を使って新たに法人番号が指定された法人(新規設立法人)を抽出することが可能となり、新規営業先等の把握が効率的にできるようになるという使い方を説明しています。
一方、「設立登記法人の閉鎖情報の確認」については、国税庁法人番号公表サイトでは、法人の基本3情報のほかに、商号や所在地等の変更及び清算結了等の閉鎖があった場合などの情報も公表していると説明。その情報をうまく活用することを勧めています。
とくに、設立登記法人については、法務省から提供を受けた登記情報を基に公表しているので、わざわざ法務局に出向いて登記事項証明書を請求しなくても、それらの登記情報は同サイトで検索すれば確認できるとしています。
2018年7月2日
日本税理士会連合会(神津信一会長、日税連)がこのほど、平成30年6月28日に開催した第1回理事会において「平成31年度税制改正に関する建議書」を決定したことを発表しました。今回も重要建議項目として、「消費税における単一税率及び請求書等保存方式の維持」を訴えています。
税務行政や租税、または、税理士に関する制度について、日税連は権限のある官公署に建議し、又は官公署の諮問に答申することができると税理士法に規定されていることから、その規定に基づいて「税制改正に関する建議書」を毎年とりまとめています。
建議書の中で、やはり重要建議事項がもっとも注目されるのですが、今回は「消費税における単一税率及び請求書等保存方式を維持すること」と「所得計算上の控除から基礎的な人的控除へのシフトを進めるとともに、基礎的な人的控除のあり方を見直すこと」、「償却資産に係る固定資産税制度を抜本的に見直すこと」の3点に絞られています。
中でも「消費税における単一税率及び請求書等保存方式を維持すること」については、2019年10月に消費税の税率が8%から10%へ引き上げられることがほぼ決まっていて、同時に軽減税率が導入されるとともに、いわゆるインボイス方式が2023年10月1日から取り入れられることから俄然注目を集めています。
日税連はかねてより、軽減税率(複数税率)制度については、区分経理等により事業者の事務負担が増加すること、逆進性対策として非効率であること、財政が毀損し社会保障給付の抑制が必要となること等の理由から、単一税率制度の維持を強く主張してきました。そして、反対ばかりするのではなく、「低所得者への逆進性対策としては、例えば、あらかじめ国が一定額を入金したプリペイドカードを配付する方法や、一定額の簡素な給付措置などによる消費支出の負担軽減策等を検討すべきである」と訴えています
2018年6月25日
日本マルチペイメントネットワーク推進協議会がこのほど、電子決済サービス「Pay-easy(ペイジー)収納サービス」の2018年5月の月間利用件数が過去最高を記録したと発表しました。
同協議会によると、「Pay-easy(ペイジー)収納サービス」の2018年5月の月間利用件数は966万件(対前年同月比108%)で、過去最高でした。また、月間利用金額についても2兆1,433億円(同114%)となり、件数・金額ともに高い伸びを示しています。
地方公共団体の分野では、今年度から新たに千葉県やさいたま市など4団体(自動車OSS対応含む)が新たにペイジーでの納税に対応しました。これに伴い、推進協議会・運営機構では、自動車税・軽自動車税の納付時期として最もペイジーの利用が高まる5月をターゲットに、千葉県では京成線・北総線、 新京成線の車内に、千葉県PRマスコットキャラクターのチーバくんをデザインしたポスターを掲示し、納税者に対し自動車税のペイジー納付取扱い開始をPRしたとしています。
一方、さいたま市でも、軽自動車税の納付書封筒裏面にペイジーの利用を促す広告を掲載するなど、納税者への周知を行いました。これらの効果などもあり、地方公共団体全体としても過去最高の利用件数・金額になったとしています。
さらに、政府機関については、関税でのペイジーの利用が前年同月比115%と伸びています。民間分野においても、ファンクラブ会費、コンサートチケット料の支払いによる利用に加え、フリマアプリなどの支払い手段としても用いられるなどしたことで、件数・金額ともに前年を上回わりました。
同協議会は今後について「2019年10月の運用開始が予定されている地方税の共通電子納税システムに関し、関係機関と連携を図りながら実現に向けた活動に取り組んでいきたい」としています。
2018年6月25日
このほど、平成29年度の「税務署への再調査請求」と「国税不服審判所への審査請求」について、それぞれの発生件数や審理の結果などを国税庁が取りまとめました。それによると、再調査の請求件数が激減する一方で、審査請求件数は過去5年間で最高をマークしています。
税務署から課税処分を受けた納税者の救済制度には、税務署長などに対する再調査の請求と国税不服審判所長に対する審査請求、さらには、裁判所に訴訟を提起して処分の是正を求める司法上の救済制度があります。これらの救済制度の平成29年度の利用状況等を、このほど国税庁がまとめたわけですが、再調査請求の状況を見てみると、発生件数は1,814件で、前年度より8.4%増加したものの、3年前の3,191件と比べると大幅に減っていることがわかります。
一方、審査請求の状況を見てみると、請求件数は2,953件で、前年度より18.7%増加し、しかも、この件数は過去5年間で最高でした。ちなみに所得税だけの審査請求件数は910件で、過去10年間で最高をマークしています。
このように再調査の請求件数が激減する一方で、審査請求件数が大幅に増えたのは、国税不服申立制度が見直されて、2016年4月から納税者は税務署等の課税処分に対して、異議申立て(現・再調査の請求)を行わなくても、直接、第三者機関である国税不服審判所へ審査請求を行うことができるようになったからです。
ただし、審査請求件数が増えたからといって、国税不服審判所の審理は以前と変わらず厳正に行われているようで、平成29年度の審査請求の処理件数は2,475件(前年度比26.3%増加)で、そのうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は202件(一部認容148件、全部認容54件)でした。審判所が納税者に軍配を上げた割合は8.2%(一部認容6.0%、全部認容2.2%)で、前年度と比べると4.1ポイント減少しています。
2018年6月18日
このほど国税庁が、5年後に導入される消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)の細かな取り扱いを解説したQ&Aを公表しました。複数税率に対応した仕入税額控除の新方式とあって、小売業を中心に多くの企業が強い関心を示しています。
今回のQ&Aで新たに明らかになったものがあります。それは問1「平成35年10月1日から導入される『適格請求書等保存方式』の概要を教えてください」とする質問に対する回答で、「適格請求書発行事業者は登録制」になるとしている点です。
適格請求書等保存方式において、仕入税額控除を行うには、適格請求書発行事業者から交付を受けた適格請求書の保存が義務づけられています。したがって、適格請求書を交付しようとする課税事業者は、納税地を所轄する税務署長にあらかじめ適格請求書発行事業者の登録申請書を提出し「適格請求書発行事業者として登録する必要がある」とされています。
これは発行する適格請求書に、必ず登録番号を記載しなければならないことになっていて、その登録番号で適格請求書発行事業者であることを確認できる仕組みにしているからです。
また、適格請求書発行事業者は、相手方(消費税の課税事業者に限る)から適格請求書の交付を求められたときは、必ず適格請求書を交付しなければならないことになっています。しかし、事業の性質上、適格請求書を交付することが困難である取引があることも事実。よって、次の取引については、適格請求書の交付義務が免除されることも明らかにしています。
①3万円未満の公共交通機関(船舶、バス又は鉄道)による旅客の運送
②出荷者が卸売市場において行う生鮮食料品等の販売(出荷者から委託を受けた受託者が卸売の業務として行うものに限る)
③生産者が農業協同組合、漁業協同組合又は森林組合等に委託して行う農林水産物の販売(無条件委託方式かつ共同計算方式により生産者を特定せずに行うものに限る)
④3万円未満の自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の販売等
⑤郵便切手類のみを対価とする郵便・貨物サービス(郵便ポストに差し出されたものに限る)
2018年6月18日
全国の国税局査察部が、今年3月31日までの1年間で実施した強制調査の状況、いわゆるマルサ白書を国税庁が発表しました。それによると、消費税の輸出免税制度などを利用した消費税の不正還付事案の告発件数が、過去5年間で最高をマークしています。
国税庁によると、全国の国税局査察部(マルサ)が平成29年度中において査察に着手した件数は、174件でした。
そして、平成29年度以前に調査に着手した査察事案で、平成29年度中に処理した件数は163件でした。そのうち検察庁に告発した件数は113件、告発率は69.3%となっています。また、平成29年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額で135億円。そのうち告発分は100億円でした。告発した事案1件当たりの脱税額は8,900万円となっています。
なお、平成29年度に告発した査察事案で一番多かった業種は、「建設業」の26件で、2番目が「不動産業」の10件でした。
また、消費税の課税売上を課税仕入よりも少なく偽装して不正に還付を受ける消費税受還付事案は、いわば国庫金の詐取ともいえる悪質性の高いものであることから、積極的に査察を敢行。平成29年度の消費税受還付事案の告発件数は12件で、過去5年間で最高となりました。
さらに、所得税や相続税などを申告していない無申告ほ脱事案についても、申告納税制度の根幹を揺るがすものであることから積極的に強制調査を実施。平成29年度の無申告ほ脱事案の告発件数は21件となり、これについても過去5年間で最高の件数でした。しかも、そのうち平成23年度に創設された単純無申告ほ脱犯を適用した事案は8件でした。
2018年6月11日
6月5日、経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)に経済財政運営の基本指針「骨太の方針」の原案が政府から提示されました。原案には、消費税率を予定通り2019年10月に現行の8%から10%への引き上げることが明記されています。
「骨太の方針」の原案の冒頭、2024年には史上初めて50歳以上の人口が5割を超え「どの国も経験したことのない『2024年問題』を迎える」と記述されていて、急速に進む高齢化に危機感を表明しています。
そして、その難局を克服するため、歳出・歳入両面における少子高齢化対策が盛り込まれました。歳入については、消費税率8%から10%への引き上げを来年10月に予定通り実施し、「少子化対策や年金、医療、介護に対する安定的な財源を担保」すると明記。景気対策を実施して経済への悪影響を抑え「(消費税増税を)確実に実現できる経済環境を整備する」と強調しています。
その上で、少子高齢化に伴う人手不足の解消を目指し、公務員の定年の65歳への段階的な引き上げの検討や、外国からの人材の受け入れを拡大する新たな在留資格の創設などが盛り込まれました。
それに先立ち、景気対策など、新たな成長戦略も示しています。また、増税前後の景気対策として、住宅などの減税措置のほか、幼児教育無償化などの実施が盛り込まれています。
一方、財政健全化の指標となる基礎的財政収支の黒字化を、当初より5年先送りした2025年度としました。また、即戦力となる外国人労働者を幅広く受け入れるため、新たな在留資格を設ける方針も示されています。
政府はこの方針を与党との調整を経て、6月15日に閣議決定する予定です。
2018年6月11日
東京都主税局が、宿泊税導入後15年を迎えることから「宿泊税15年間の実績と今後のあり方」を報告書としてとりまとめ、6月7日に都議会へ報告しました。
同報告書には、宿泊税の現状について、税収は平年度ベースでは10億円を超える水準で安定的に推移し、平成14年度から平成28年度まで計約192億円にのぼるとしています。また、課税人員数は平成28年度で約1600万人、登録施設数は平成28年度末時点で619施設であることを明らかにしました。
その税収は、観光案内所の整備・運営や、ウェルカムボードの作成などの観光振興施策に全額が充当されていて、安定した財源として、都による積極的な観光振興施策の推進に寄与しているとしています。
一方、宿泊税を巡る今後の対応として、
① オリンピック・パラリンピック東京2020の開催に伴う対応として、大会の全期間を網羅する、平成32年7月1日から同年9月30日までの3ヶ月の間、宿泊税を課税停止する。
② 民泊事業への対応については、住宅宿泊事業法施行後の状況を十分注視しつつ、民泊を巡る状況に大きな変化が生じた場合には、公平性の観点や税収効果、徴税コスト等を踏まえ、適切な時期に総合的に検討していくことが必要と考える―、などとしています。
2018年6月4日
国税庁が、収入印紙の偽造防止のため、一部の券種について形式を改正し、平成30 年7月1日から適用を開始すると発表しました。可視領域では無色ですが、紫外線ランプを照射すると発光するインキなどが施されます。
収入印紙は印紙税を納めるためのもので、領収書や賃貸借契約書、業務請負契約書などに貼付することが法律で義務付けられています。
現行の31 券種(1円、2円、5円、10 円、20 円、30円、40 円、50 円、60 円、80 円、100 円、120 円、200 円、300 円、400 円、500円、600 円、1,000 円、2,000 円、3,000 円、4,000 円、5,000 円、6,000 円、8,000 円、10,000 円、20,000 円、30,000 円、40,000 円、50,000 円、60,000 円、100,000 円)のうち、形式を改正する券種は、19 券種(200 円、300 円、400 円、500円、600 円、1,000 円、2,000 円、3,000 円、4,000 円、5,000 円、6,000 円、8,000 円、10,000 円、20,000 円、30,000 円、40,000 円、50,000 円、60,000 円、100,000 円)です。
形式改正により、次の偽造防止技術が施されます。
まず、改正するすべての券種に特殊発光インキ(可視領域では無色だが、紫外線ランプの照射で発光するインキ)及びマイクロ文字、着色繊維及び透かし入用紙が使用されます。そして、200 円券については、パールインキ(見る角度でパール色の光沢模様が現れる技術)とイメージリプル(特殊レンズを重ねると、「200」の文字が現れる技術)が施されます。
300 円から600 円の券種(4 券種)については、メタメリックインキ(専用シートを重ねると、模様が消える技術)が使用されます。また、1,000 円以上の券種(14 券種)については、メタリックビュー(見る角度を変えると、複数の模様が現れる技術)が用いられます。
なお、国税庁では「改正前の収入印紙については、改正後の収入印紙の適用開始後も引き続き使用することができる」としています。
2018年6月4日
このほど国税庁が、民泊を営業している納税者に関する消費税の取扱いを制定しました。旅館業に該当するものの範囲に民泊を加えています。
住宅の空き部屋やマンションの一室を利用して観光客・旅行者などに宿泊させる「民泊」を営業する人が増えています。そこで、政府は民泊が安全面や衛生面の確保がなされていないことや、騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが社会問題となっていること、観光客の宿泊ニーズが多様化していることなどに対応するため、一定のルールを定め、健全な民泊サービスの普及を図るものとして、新たに住宅宿泊事業法を制定しました。
問題は、住宅宿泊事業法では民泊に使用できる施設について「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」や「入居者の募集が行なわれている家屋」、「随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋」と定義している点です。
消費税法では、居住用の家賃について非課税とされていることから、民泊の賃貸料について居住用の家賃と考える向きがありました。そこで、国税庁では平成30年6月15日の住宅宿泊事業法の施行に合わせて、消費税法基本通達の一部を改正。旅館業に該当するものの範囲(同通達6-13-4)に民泊を加えています。
具体的には、同通達の末尾に(注)として「住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)第2条第3項《定義》に規定する住宅宿泊事業は、旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に該当することから、非課税とはならないことに留意する」としています。
2018年5月28日
今年3月に終了した平成29年分の所得税の確定申告状況を国税庁が明らかにしました。それによると、株式等の譲渡で有所得人員が前年に比べ81.1%増と驚異の伸びを見せています。
平成29年分所得税等の確定申告書の提出人員は2198万人で、平成28年分(2169万人)から28万7千人(1.3%)増加、平成23年分からほぼ横ばいで推移しました。このうち、納税人員(申告納税額がある方)は640万8千人で、所得金額は41兆4298億円、申告納税額は3兆2037億円となっています。平成28年分と比較すると、人数(プラス0.6%)、所得金額(プラス3.4%)及び申告納税額(プラス4.6%)はいずれも増えています。
事業所得者の納税人員は169万7千人で、その所得金額は7兆254億円、申告納税額は6198億円でした。これを平成28年分と比較すると、納税人員(マイナス2.0%)、所得金額(マイナス1.2%)及び申告納税額(マイナス2.6%)はいずれも減少しています。
今回の確定申告で、最も注目されているのが株式等の譲渡所得です。確定申告書を提出した人員のうち、株式等の譲渡所得の申告人員は103万1千人でした。そのうち、有所得人員は53万3千人で、その所得金額は3兆5732億円となっています。
これを平成28年分と比較すると、申告人員(プラス10.6%)、有所得人員(プラス81.1%)及び所得金額(プラス36.7%)はいずれも増加しました。
2017年は日経平均株価が6年連続の上昇となり、バブル崩壊後の最長記録を更新しましたが、今回の確定申告では、その株価の好調な動きに敏感に反応した人が非常に多かったことを物語っています。
2018年5月28日
規制を凍結し、技術革新や設備投資を促進して短期間に企業の生産性向上を図ることを柱とする「生産性向上特別措置法案」が5月16日に国会で成立しました。これを受け、中小企業が生産性向上のための先端設備を導入した場合、3年間設備の固定資産税をゼロから2分の1に軽減する制度が全国の自治体でスタートすることになっています。
この制度は、中小企業は国の指針、市町村が策定する先端設備などの導入促進計画に沿って先端設備等導入計画を策定し、市町村に申請して、認定されると、先端設備の固定資産税の課税標準が、自治体が定める範囲でゼロから2分の1に減免されるほか、事業に必要な資金繰りの制度融資を受けられるというものです。
さらに、自治体が固定資産税を「ゼロにする」と表明すると、ものづくり関連などの国の各種補助金の優先採択が受けられることになっています。
先端設備とは、機械装置、測定・検査工具、器具備品、建物付属設備、ソフトウエアに分類され、旧モデルに比べて生産性が年平均1%以上向上することが条件です。また導入によって労働生産性が年平均3%以上向上することを目標とするものもあります。
中小企業庁が全国自治体に行ったアンケート調査によると、例えば、神奈川県内では、ほぼ全域で先端設備の固定資産税をゼロにする特例措置の制度を導入する方針を回答しています。5月22日に開会中の市議会で関連の市税条例改正案を提出する横浜市は、6月中には導入促進基本計画を策定し募集を開始する予定です。来年1月1日からの固定資産税評価で適用することにしています。
2018年5月21日
国税庁が今年5月27日と6月10日の両日曜日に、国税を納期限までに納付されていない方に対して集中電話催告センター室(納税コールセンター)から電話催告を実施すると発表しました。くれぐれも振り込め詐欺などと間違わないようにしたいものです。
各国税局に設置されている納税コールセンターは、所轄の税務署に代わり国税局の職員が電話や文書による納税催告を行っている機関で、基本的に土・日曜日及び祝日は閉庁日となっています。しかし、催告対象者の中には、日曜日ならば電話に出れるという方も少なくないことから、国税庁では定期的に閉庁日(日曜日)に電話催告を行なってきました。
今回、5月27日に電話催告を行うのは、札幌、関東信越、金沢、高松、福岡の5国税局です。そして、6月27日に行うのは、仙台、東京、名古屋、大坂、広島、熊本の6国税局と沖縄国税事務所となっています。
最近、税務職員を装った不審な電話が増えていることから、国税庁は「納税コールセンターでは、国税の納税のために金融機関の口座を指定して振込みを求めるようなことや、金融機関等の現金自動預け払い機(ATM)の操作を求めることはありませんので、納税される場合には、原則として納付書によって所轄の税務署や金融機関の窓口で行ってください」と電話催告対象者に注意を呼びかけています。
2018年5月21日
このほど東京都が、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催期間中、宿泊税の課税を停止する方針を固めました。平成30年第2回都議会定例会に東京都宿泊税条例改正案を提案する予定です。
東京都では、現在、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てることを目的として、都内のホテル又は旅館の宿泊者を対象に宿泊税を課税しています。税率は、宿泊料金1人1泊につき、1万円以上1万5千円未満の宿泊が100円、1万5千円以上の宿泊は200円となっていて、1泊1万円未満の宿泊については課税を免除しています。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックの期間中については、招致段階では大会関係者の宿泊税を免除すると公約していましたが、宿泊施設で関係者かどうかを確認するのが難しいことなどから、東京都では対象を全宿泊者に拡大することにしました。
宿泊税の免除期間についは2020年7月1日から9月30日までとしています。これにより約5.5億円の税収減となる見通しです。
都主税局では「ボランティアや観客らの負担軽減につなげるとともに、宿泊施設側が大会関係者とそれ以外を判別することが難しいという問題を解消するため対象者を拡大した」と説明しています。
2018年5月14日
信託の契約時の委託者兼受益者と同一の委託者に信託財産が戻って来る場合には登録免許税が課税されない、いわゆる信託財産の登記等の課税の特例で、昨年、東京国税局が示した「二次相続の場合も要件さえ満たせば同特例は適用できる」とする見解がクローズアップされています。
東京国税局に持ち込まれたのは、「被相続人甲が、その有する不動産の管理、運用及び処分を目的として、甲の相続人(養子)である乙が代表取締役を務めるX社との間で、甲を委託者兼受益者、X社を受託者とし、建物、宅地及び金銭を信託財産とする信託契約を締結していたところ、実際に相続が発生して乙と甲の妻(丙)とで甲のその信託財産を2分の1ずつ相続し、両者ともに委託者となった。ところが、数年後丙が死亡。丙が相続した甲の信託財産を乙が二次相続で取得したわけだが、その際、信託財産の登記等の課税の特例が適用可能か」という質問でした。
原則として、信託財産の登記等の課税の特例が適用されるのは、「信託の信託財産を受託者から受益者に移す場合」(要件1)であって、「当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である場合」(要件2)において、「当該受益者が当該信託の効力が生じた時における委託者の相続人(……)であるとき」(要件3)という要件を満たす必要があります。
今回の場合、まず甲の死亡後においても、信託の委託者となった乙及び丙のみが信託財産の元本の受益者であることに変わりはなく、要件2を満たしています。次に、乙は今回の信託の効力が生じた時における委託者である甲の相続人に該当することから、要件3も満たしていました。問題は、「信託財産を受託者から受益者に移す場合」(要件1)でした。
「信託の効力が生じた時からその信託の信託財産を受益者に移すまでの間の受益者を、例えば『信託の効力が生じた時から引き続き委託者である者に限る』などと限定する規定が同特例には設けられていない。したがって、信託財産の移転を受ける受益者が『信託の効力が生じた時における委託者の相続人』であること」という要件1を満たしていることから、東京国税局は同特例の適用は可能とする見解を示したわけです。
2018年5月14日
5月10日に東京都の小池百合子知事と経済同友会の小林喜光・代表幹事が都内で懇談会を開き、その席上、小池都知事が「2018年度税制改正で年間1,000億円の税収が都から奪われた」として不合理な改正に理解を求めました。
経済同友会では、今回の小池都知事と小林代表幹事との懇談会について「東京都も含め地方自治体の自立に何が必要か、日本全体の持続的成長に向け、東京が何をすべきか、地方財政や国家財政の視点から建設的な議論をしました」としています。
その議論の中で小池知事は「2018年度税制改正で、地方消費税の清算基準の見直しにより年間1,000億円の税収が都から奪われたと強調。日本の発展のためにも都の活性化が必要とし、経済団体でも議論してほしい」と訴えていたことが分かりました。
地方消費税の帰属地域は、最終負担者である消費者が消費する最終消費地であるべきだと考えられています。そこで、現行制度においては、製造業者や卸売業者の納税地が地方消費税の最終消費地である都道府県と異なる場合は、国が消費税と一緒に徴収した地方消費税を各都道府県に払い込むときに、各都道府県における「消費に相当する額」に応じて「清算(調整)」しています。
その「消費に相当する額」とは、消費に関連した基準によって算出されますが、その基準は①小売り年間販売額(商業統計)、②サービス業対個人事業収入額、③人口、④従業者数―、についてそれぞれに負担割合が決められています。その割合は①と②の合計額で75%、③17.5%、④7.5%とされていて、この負担割合で「消費に相当する額」が計算されます。
今回の税制改正で、①と②の合計額で75%とされていたものが50%とされ、③17.5%と④7.5%を合わせたものが50%とされたのです。これにより、平成29年度予算で清算基準の変更を当てはめると、東京都は1,000億円の減収となるわけです。
小池都知事の申し入れについて同友会の小林代表幹事は、記者団の前で「地方と東京は対峙するのではなく、全体としてどう最適化できるか議論すべきだ」と述べ、冷静な議論が必要との考えを示しました。
2018年5月7日
日本銀行がこのほど発表したレポート「経済・物価情勢の展望(2018 年4 月)」の中で、2019年10月に予定されている消費増税で増える一般家計の負担額は2.2兆円で、前回2014年の増税時の4分の1程度にとどまると試算しています。
同レポートによると、消費増税で増える一般家計の負担額は1997年に税率が3%から5%に引き上げられた時は「所得減税の打ち切りも重なり8.5兆円の負担増となった」としています。そして、税率が5%から8%に増税された2014年は「給付金などの軽減措置もあったが8兆円だった」そうです。
ところが、2019年に消費税率が8%から10%に上がる際「税率引き上げの直接的な影響は5.6兆円」としていて、しかも、軽減税率で1兆円、教育無償化で1.4兆円、年金額改定で6千億円といった軽減要素が見込めることから、「負担増は差し引き2.2兆円になる」と予測しています。
2019年の税率引き上げで一般家計に与える負担増が、小幅なものにとどまる理由については次のように分析しています。
① 今回の消費増税のタイミングが2019 年度央となるため、駆け込み需要とその反動が、2020 年度では成長率の下押しとなるものの、2019 年度内では均されるほか、実質所得の減少効果も2019 年度と2020 年度で分散して発生するという技術的な要因がある。
② 税率の引き上げ幅は、前回よりも小さく、かつ一部品目には軽減税率も適用される。
③ 教育無償化や各種の負担軽減策が講じられる。
④ 今回は2回目の増税を見据えた駆け込み需要が発生したと考えられる。
ただし、「消費税率引き上げのインパクトは、その時々の消費者マインドの動向に左右されるなど、不確実性が大きいことに留意する必要がある」と警告しています。
2018年5月7日
このほど、税関が来年1月7日からスタートする国際観光旅客税のPRを始めました。恒久的に徴収する国税の新設は1992年の地価税以来、27年ぶりとなることから、財務省の力の入れ様も尋常ではありません。
政府では、訪日外国人旅行者について、2020年4000万人、2030年6000万人の達成に向けた施策を推進しています。その施策の一つとして、平成30年度税制改正の大綱において、観光立国実現に向けた観光基盤の拡充・ 強化を図るため、我が国からの出国に対し負担を求める「国際観光旅客税」の創設を盛り込みました。
同税の根拠法は、今年4月11日に国会で可決成立した国際観光旅客税法です。
国際観光旅客税は、日本人だけでなく外国人も航空機や旅客船で出国する際に、1人1,000円を運賃に上乗せするなどして徴収することになっています。ただし、乗員や乗り継ぎ客、2歳未満の子供などは課税対象外です。
徴収された同税の使い道としては「快適な旅行のための環境整備」「体験型観光の満足度向上」「日本の魅力に関する情報発信強化」といった分野に限定されていて、2018年度予算では60億円の税収を見込んでいます。これは、最新技術を活用した顔認証ゲートなどに使う予定です。なお、政府は通年で税収が入る2019年度以降は年430億円を見込んでいます。
財務省は3月28日に平成30年度税制改正関連法案が国会で成立すると、満を持して国際観光旅客税のPRを開始。施行は来年1月7日ですが、海外旅行が少なくても数カ月前から計画を立てるものであることから、このほど、税関もホームページなどで告知し始めたわけです。
2018年4月23日
仮想通貨交換業者大手のコインチェックから約580億円分の仮想通貨「NEM(ネム)」が流出した問題で、いまなお損害賠償を求めて提訴する動きが相次いでいますが、このほど、国税庁が「仮想通貨交換業者から仮想通貨に代えて金銭の補償を受けた場合」の税務上の取扱いを公表しました。
国税庁はホームページ上で同取扱いをQ&A方式で解説しています。
具体的には、まず質問として「仮想通貨を預けていた仮想通貨交換業者が不正送信被害に遭い、預かった仮想通貨を返還することができなくなったとして、日本円による補償金の支払を受けました。この補償金の額は、預けていた仮想通貨の保有数量に対して、返還できなくなった時点での価額等を基に算出した1単位当たりの仮想通貨の価額を乗じた金額となっています。この補償金は、損害賠償金として非課税所得に該当しますか?」と疑問点を提示しています。
これに対して「一般的に、損害賠償金として支払われる金銭であっても、本来所得となるべきもの又は得べかりし利益を喪失した場合にこれが賠償されるときは、非課税にならないものとされています」と一般論を説明。そのうえで「ご質問の課税関係については、顧客と仮想通貨交換業者の契約内容やその補償金の性質などを総合勘案して判断することになりますが、一般的に、顧客から預かった仮想通貨を返還できない場合に支払われる補償金は、返還できなくなった仮想通貨に代えて支払われる金銭であり、その補償金と同額で仮想通貨を売却したことにより金銭を得たのと同一の結果となることから、本来所得となるべきもの又は得られたであろう利益を喪失した部分が含まれているものと考えられます」と支払われる補償金の内容を分析しています。
そして、答えとして「したがって、ご質問の補償金は、非課税となる損害賠償金には該当せず、雑所得として課税の対象となります。なお、補償金の計算の基礎となった1単位当たりの仮想通貨の価額がもともとの取得単価よりも低額である場合には、雑所得の金額の計算上、損失が生じることになりますので、その場合には、その損失を他の雑所得の金額と通算することができます」としています。
2018年4月23日
土地の相続税評価額算定の基礎となる路線価の平成30年分を、国税庁が今年7月2日に公開すると発表しました。相続税の課税強化の影響で、今年も路線価の動向に多くの資産家が強い関心を寄せています。
平成 30年分の路線価図等は、今年7月2日月曜日午前10 時に公開される予定です。路線価とは、国税庁が土地に課税される相続税や贈与税の算定基準のことで、毎年、宅地に面する主要道路にその基準価格をつけていることから路線価と呼ばれています。
路線価の策定にあたって国税庁は、土地基本法第16条の趣旨を踏まえて、総合土地政策推進要綱などに沿って、国土交通省が毎年発表している公示価格の80%程度を目途に定めていることから、今年3月に発表された公示価格から今回の路線価のおおよその動向を推測することができます。
そこで、国土交通省が3月27日に発表した平成30年地価公示を見てみます。それによると、平成30年1月1日時点の全国の標準地約2万6000地点の価格について「住宅地は、雇用・所得環境の改善が続く中、低金利環境の継続による需要の下支え効果もあり、利便性の高い地域を中心に地価の回復が進展している」とされています。一方、商業地も「外国人観光客の増加などによる店舗・ホテル需要の高まり、都市中心部における再開発等の進展による繁華性の向上など、不動産需要は旺盛であり、地価は総じて堅調に推移している」とのことです。
具体的には、住宅地の全国平均は0.3%上昇で、10年ぶりに上昇しました。商業地は1.9%上昇し、全用途平均も0.7%上昇、ともに3年連続で上昇しています。
2018年4月16日
経済産業省がクレジットカードや電子マネーなど、現金以外の手段で商品やサービスを購入するキャッシュレス決済の割合を2025年までに4割にする提言をまとめました。決済端末を導入する店舗に対し税制面の優遇措置や、補助金の支給などを行うことにしています。
海外のキャッシュレス決済の状況は、2015年の時点で韓国が89%、中国60%、米国45%でした。それに対し、日本は18%しか普及しておらず、現金で支払うのが一般的となっています。
海外取引の増大や人口減少社会の到来で、現金決済に関連する人手などのコストは日本経済の発展の妨げとなっていることから、このほど、経済産業省が「キャッシュレス化」の推進に向けた提言をまとめました。
同提言では、現在約20%にとどまっているクレジットカードや電子マネー、スマートフォンなどで商品の購入代金を支払う割合を、2025年までに40%まで高めて、将来的には80%にまで引き上げることを目標としています。これにより、企業の省力化につなげるほか、ビッグデータを活用した産業育成を進めたい考えです。
とくに、企業の省力化では、釣り銭の用意や手作業による売り上げの集計など、現金決済に伴う費用が年8兆円に達しているとの試算もあることから、キャッシュレス決済を広めて店舗で現金を扱う手間を減らし、深刻化している人手不足に対応することにしています。
経済産業省は、5月にも小売業界の代表や学識経験者などに参加を呼びかけて産学官の協議会を設けて、検討を始める予定です。すでに昨年政府が決定した経済成長戦略の中に「キャッシュレス化」が盛り込まれていることから、最終目標の80%の実現に向けて決済端末の導入補助や税制面での優遇措置などを検討していくことにしています。
2018年4月16日
日用品流通の情報基盤を運営する株式会社プラネット (本社:東京都港区、田上正勝社長)が、消費財にまつわるトピックスを発信している「Fromプラネット」の第83号で、セルフメディケーション税制に関する意識調査の結果を紹介しています。
「セルフメディケーション税制」とは、市販薬のうち医療用から転用された医薬品(スイッチOTC成分を含む医薬品)の購入金額が年間1万2,000円(消費税込)を超えれば所得控除を受けられる制度。医療費控除の特例として2017年1月に施行し、今年初めての確定申告期間を迎えた制度です。
Fromプラネットの情報ソースは、インターワイヤード(株)が4月9日に発表した「セルフメディケーション」に関する調査結果を基にしたもの。調査期間は2018年2月23日から3月9日で、有効回答はネットリサーチ「DIMSDRIVE」モニター3,621人とされています。
この調査で、最も注目されたのがセルフメディケーション税制を利用してみたいかどうかを聞いた項目。「ぜひ控除を受けたい」と「控除を受けるのを検討してもよい」と答えた人の合計“控除を受けたい”は56.4%でした。逆に「あまり控除を受けたいと思わない」と「まったく控除を受けたいと思わない」と答えた人の合計“控除を受けたいと思わない”は 16.4%に止まっています。しかし、2016年12月のアンケートでは“控除を受けたい”は59.8%だったことから、一年前よりも低くなっています。
これについてプラネット社は、「スイッチOTC医薬品」の購入金額を聞いた調査項目を取り上げて「そもそも『スイッチOTC医薬品を購入したかどうかわからない』という人が2割近くいましたが、控除の対象となる『スイッチOTC医薬品』のわかりにくさが申告を敬遠した第一の理由にあるようです」と指摘しています。
2018年4月9日
国税庁法人番号公表サイトにアクセスした人たちの間で、パソコンの画面に「このWebサイトのセキュリティ証明書には問題があります。」などの警告が表示されるケースが取り沙汰されています。これは、国税庁が同サイトのセキュリティを強化したことに伴い発生している現象です。
法人番号は、国税庁が1法人につき1つの番号(13桁)を指定しているもので、行政の効率化や国民の利便性の向上、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤としての役割を担うとともに、その法人番号だけでなく商号や本店の所在地などを公表することで民間による利活用を促進し、番号を活用した新たな価値の創出が期待されているものです。
国税庁の法人番号公表サイトは、金融機関や卸売業を営む事業者などが、新規取引先などの所在確認をするために利用していますが、そういった利用者から「この4月に入り、サイトにアクセスするたびにパソコンの画面に『このWebサイトのセキュリティ証明書には問題があります。』といった警告が表示されるので不安を感じている」といった声が相次いでいます。
これについて国税庁では、「国税庁法人番号公表サイトでは、セキュリティ強化を目的として、平成30年4月1日から、常時暗号化通信「TLS1.2」に対応させました」として、対応後のURLをhttps://www.houjin-bangou.nta.go.jpに変更しています。そして、「このWebサイトのセキュリティ証明書には問題があります。」といった警告が表示されることについては、「ご利用のブラウザに政府認証基盤アプリケーション認証局2(Root)の自己証明書がインストールされていない場合に、そういった警告が表示されます」と説明。とくに「TLS1.2に対応していない端末又は、TLS1.2を有効に設定していない端末から公表サイトに接続した場合、閲覧が出来ない可能性があります」と注意を呼びかけています。
2018年4月9日
国税庁法人番号公表サイト内のExcelファイルを開いたときに表示される「証明書のエラー」との警告について、このほど国税庁がその対処の仕方を告知しました。
法人番号は、国税庁が1法人につき1つの番号(13桁)を指定しているもので、行政の効率化や国民の利便性の向上、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤としての役割を担うとともに、その法人番号だけでなく商号や本店の所在地などを公表することで民間による利活用を促して、番号を活用した新たな価値が創出されることが期待されているものです。
ところが、このところ法人番号公表サイト内にあるExcelファイルを開いたときに、「証明書のエラー」という警告が表示されるケースが問題となっています。
これについて国税庁では、「Microsoft Internet Explorerから国税庁法人番号公表サイトに掲載されているExcelファイルをダウンロードする際、『開く』を選択した場合に『Microsoft Excel セキュリティ警告』の『証明書のエラー』が表示される場合がある」と前置きしたうえで、パソコン画面上で「エラーが表示された場合は、『保存』もしくは『名前を付けて保存』を選択し、端末等にダウンロードの上、ご利用いただきますようお願いいたします」と説明しています。
2018年4月2日
定年の年齢を延長した会社が、その延長前の定年に達した従業員に支払った一時金の所得区分について、このほど高松国税局が退職所得として取り扱って差し支えないとする見解を示し注目を集めています。
少子化に伴い新卒者の採用が難しくなってきていることから、ベテラン社員の定年を延長して働ける高年齢者を確保する企業が増えています。今回、高松国税局に対して文書で税務相談を持ち掛けていた会社も同様に就業規則を改正し、平成30年4月1日より従業員の定年を60歳から65歳に延長することを決定していました。
そして、その定年延長前(平成30年3月31日以前)に入社した従業員に対しては、延長前の定年である満60歳の月末に達したときに退職一時金を支給することにしました。ところが、その一時金が税務上の退職所得(所得税基本通達30-2(5)《引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの》)に該当するかどうかが問題となったのです。そこで、同社は管轄する高松国税局に対し、事前に文書で相談をすることにしました。
その文書で同社は「定年延長前に入社した従業員に対して、旧定年のときに本件退職一時金を支給することとしたのは、当該従業員は、旧定年のときに本件退職一時金が支給されることを前提に生活設計をしており、定年延長に伴い本件退職一時金の支給が65歳になると不都合が生じるため、定年を延長する場合においても旧定年のときに本件退職一時金を支給するように要求していること、また、定年延長に伴い改正された退職金規程の改正前及び改正後においても本件退職一時金の金額は変わらないことは、本件退職一時金の支給が65歳に延長された場合には従業員にとって不利益な変更となるため、このような不都合及び不利益は、雇用主として配慮する必要があるので、定年延長前に入社した従業員に対し、旧定年のときに本件退職一時金を支給することについて『相当な理由』があると認められる」と説明。
したがって、「所得税基本通達30-2(5)に定める給与に該当し、退職所得として取り扱うのが相当である」との考えを示していました。これに対し高松国税局は「照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えない」と回答しています。
2018年4月2日
このほど、平成28年度分「会社標本調査」の結果を国税庁が公表しました。それによると、利益計上法人数が97万698 社(前年度比プラス3万1121 社、同プラス3.3%)にのぼり、6年連続で増加したことが分かりました。
平成28年度分の会社標本調査の標本法人数は166万5657社で、法人税の確定申告書などから得た標本値に、標本抽出率の逆数を乗じて全体の法人企業の総数、資本金、営業収入金額などを推計したものです。
それによると、まず法人数全体(連結子会社を含む)の数は267万2033社で、前年度比プラス3万185 社(プラス1.1%)も増加しました。そのうち、利益計上法人数は97万698社(前年度比プラス3万1121社、同プラス3.3%)で、6年連続で増加しています。
一方、欠損法人数は168万9427 社(前年度比マイナス1432 社、同マイナス0.1%)で、こちらは7年連続で減少しました。全法人に占める欠損法人の割合は63.5%(前年度比マイナス0.8ポイント)で、これも7年連続で減少しています。
注目の繰越欠損金の当期控除額は7兆5951億円(前年度比マイナス6098億円、同マイナス7.4%)で、3年連続の減少となりました。しかし、繰越欠損金の翌期繰越額は68兆4167億円(前年度比プラス3兆436億円、同プラス4.7%)で、2年連続の増加となっています。
特長としては、交際費等の支出額が3兆6270億円(前年度比プラス1432億円、同プラス4.1%)で、5年連続で増加したことです。平成25年度と26年度の税制改正で、資本金1億円以下の中小企業が支出する交際費の損金算入額が拡大されたことが大きな要因になっています。
2018年3月26日
名古屋市の河村たかし市長の看板政策「市民税5%減税」が、一部取り止められることになりました。企業などを対象とする法人市民税の減税を2019年度から廃止する条例案が、3月19日の市議会本会議において全会一致で可決、成立しました。
法人市民税の減税を廃止する理由について河村市長は「国の法人実効税率が段階的に引き下げられ、市の政策は一定の役割を果たした」と説明しています。名古屋市では、法人市民税の減税廃止に伴う税収増を約34億円と見込んでいて、その半分は「子どもと親の総合支援」など、河村市長が新たに掲げている重点政策の推進に充てる予定です。
残りは、市や社会福祉法人などに年間5,000円以上を寄付した企業について、法人市民税を減免する財源に充当します。これを可能にする措置として、2019年4月から2年間限定の特例税制を創設することにしています。
「市民税5%減税」は、河村氏が2009年に市長選に初当選を果たした際の目玉政策。減税に反対する市議会を政令市初のリコール成立で解散に追い込み、条例を恒久化させたことでも知られています。
2018年3月26日
滋賀県が今年7月からスマートフォンやタブレットにダウンロードした決済アプリで、自動車税や不動産取得税などの県税を納付できるようにすると発表しました。都道府県レベルでは初めての取り組みです。
滋賀県では、「スマートフォンやタブレット端末を使って、県税の納付書に印刷されている『コンビニ収納用バーコード』をカメラ機能で読み取り、事前に登録した預金口座から即時に支払いができるスマートフォン決済アプリ『PayB(ペイビー)』を使って県税金を納付する」と仕組みを説明。これにより、銀行やコンビニなどへ出向いて税金を支払うという手間が省け、「いつでも・どこでも・簡単に税金を納付することができるようになる」としています。
ペイビーの利用開始時期は今年7月を予定していて、納付書にコンビニ収納用バーコードが印刷されている県税ならば利用することが可能です。いまのところペイビーの利用可能な金融機関は、みずほ銀行、りそな銀行、ゆうちょ銀行、じぶん銀行、鹿児島銀行、十六銀行、南都銀行、肥後銀行、百五銀行、宮崎銀行、武蔵野銀行、山口銀行、もみじ銀行、北九州銀行、埼玉りそな銀行、近畿大阪銀行、滋賀銀行、ジャパンネット銀行、伊予銀行、大垣共立銀行、広島銀行、山形銀行、イオン銀行、大分銀行。
アプリの利用料は無料ですが、通信にかかるパケット代は利用者の負担となります。
2018年3月19日
3月9日、衆議院本会議で国際観光旅客税法案が賛成多数で可決され、参議院へ送られました。同法案は、海外旅行などで出国する際に一人につき1,000円の国税を課税しようというものです。
同法案は、2月2日に平成30年度税制改正法案とともに国会に上程され、2月13日衆議院財務金融委員会に付託。23日から審議が行われ、3月2日の委員会において賛成多数で可決されていました。
具体的には、訪日外国人旅行者や国民が出国する際、1人1,000円を徴収しようというもので、2019年1月7日の施行を目指しています。税目は所得税や法人税などと同じ恒久的な国税で、新税創設は1992年の地価税以来、27年ぶりとなります。
政府は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される20年の訪日外国旅行者数を4千万人とする目標を掲げているものの、出入国の円滑化や地域の観光インフラの整備など、訪日客受け入れには多くの課題が指摘されていて、対応するための財源不足で頭を悩ませていました。そこで、同税を創設して使途を「環境整備」「情報発信強化」「体験型観光」の3分野に充てることにしたわけです。
海外の例を見てみると、アメリカが「ESTA」と呼ばれるオンライン渡航認証システムの申請手数料として、外国人旅行者から14ドル(約1,500円)を徴収しています。また、韓国では出国納付金として国内外問わず航空旅客から1万ウォン(約1,000円)を徴収。イギリスやフランスなども航空旅客税などを徴収しています。こうした事例を基に同税の創設検討会は、税額を「1,000円を超えない範囲」と提言していました。
ただ、野党の中には、「与党の選挙公約にもなく、政府税制調査会における議論もなかった。国民の信任が得られていない」などと反発する向きもあります。
2018年3月19日
さきごろ、アサヒグループホールディングスが運営する情報サイト「青山ハッピー研究所」が、消費者の節約に関する意識調査の結果を発表しました。それによると、15.7%が「来年に予定されている消費税アップに備えて」節約していると答えています。
「青山ハッピー研究所」が行った今回の消費者の節約に関する意識調査は、インターネットで回答を募集し、20代以上の男女2432人から回答を得たものです。
まず、現在、節約を意識して生活しているかを聞いたところ、「強く意識している」は32.5%、「まあまあ意識している」は59.2%。「強く」と「まあまあ」と合わせて91.7%が節約を意識していました。
「強く意識している」について過去の調査と比較すると、最も高かった2015年からは35.0%、34.1%、32.5%と3年連続で減少しています。
次に、節約している内容を見てみると、1位は「節電」(71.7%)でした。2位以下は「節水している」(53.7%)、「食費を抑えている(なるべく安いものを探す)」(52.4%)、「ファッション・衣類を買い控えている」(50.5%)、「外食費・飲み代を抑えている」(47.9%)、「旅行じ・レジャーを控えている」(47.9%)となっています。
節約を意識している理由では、「老後の生活不安のため」(48.3%)が最も多く、続いて「長引く経済不況のため」(27.9%)、「無駄を排除した『シンプルな生活』を目指しているため」(25.3%)、「給与が減少したため」(18.6%)でした。中でも注目されたのは、2019年10月から食料品や新聞などを除き消費税率が10%にアップすることを受け、15.7%が「来年に予定されている消費税アップに備えて」を節約理由に選んでいたことです。
2018年3月5日
平成29年12月15日の最高裁の判決を受け、このほど、国税庁が競馬の馬券購入費に関する所得税法取扱基本通達の改正を示唆。ハズレ馬券の購入費も必要経費に該当する場合があるとする取り扱いを整備して広く納税者に意見を求めています。
これまで、競馬の馬券購入費について国税庁は「競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当しない」という取り扱いを定めていました。
ところが、平成29年12月15日に最高裁が「馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」という判決を下したことから、このほど、国税庁が所得税法取扱基本通達を改正。「馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する」としました。
このようにして購入した馬券の購入費については、ハズレ馬券の購入費も含めて必要経費に該当することになるとしたわけです。今回の取扱いの整備について、国税庁では4月2日までパブリックコメントを募集しています。
2018年3月5日
平成30年4月1日以降、国税庁が運営している法人番号公表サイトを使用すると「このWebサイトのセキュリティ証明書には問題があります」といった警告がパソコン画面上に表示される場合があることを国税庁が発表しました。
法人番号は、平成25年5月24日に成立した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づき、1法人につき1つ指定された13桁の番号のことです。国税庁がインターネット上にサイト「法人番号公表サイト」を立ち上げて、その番号とともに法人の商号や名称、本店や主たる事務所の所在地を公表しています。マイナンバーとは違い法人番号は、行政事務を効率化して国民の利便性を高め、公平かつ公正な社会を実現する社会基盤としての役割を担っているものです。
この法人番号公表サイトについて、このほど国税庁が今年4月1日以降、利用者側のパソコン画面に「このWebサイトのセキュリティ証明書には問題があります」などといった警告が表示される場合があると発表しました。これは、国税庁が同サイトのセキュリティの強化を目的として、平成30年4月1日から、常時暗号化通信「TLS1.2」に対応することを予定しているからです。
とくに、同サイト利用者側のパソコンにおいて、ブラウザ(データを閲覧するためのアプリケーション)に政府認証基盤アプリケーション認証局2(Root)の自己証明書がインストールされていない場合にそういった警告が表示されます。また、国税庁では「TLS1.2に対応していないパソコンやTLS1.2を有効に設定していないパソコンで同サイトにアクセスした場合、閲覧ができない可能性がある」としています。
2018年2月26日
名古屋市の河村たかし市長は2月13日の定例記者会見で、看板政策の「市民税5%減税」について、法人市民税分を2019年度で打ち切ることを明らかにしました。国の法人実効税率引き下げを理由に挙げ、「減税を先導する役割は果たせた」としています。
名古屋市の市民税収は2018年度当初予算案で2,792億円です。そのうち中小企業などが納める法人市民税は2割強の647億円、個人市民税は8割弱の2,146億円を見込んでいます。
同市が法人市民税の減税をやめるのは、国が法人実効税率を段階的に引き下げていくことを決めたからだとしています。市民税5%減税を始めた前年の2011年度の国の法人税は39.54%でした。それが2018年度は29.74%に下がる予定です。河村市長は会見で「国の減税額は市の減税額とは比べものにならないほど大きいので、企業には理解してほしい」と訴えました。そして、「個人市民税の減税は続けるが、法人市民税の減税は止める」として同市は減税の条例改正案を市議会に提案することにしています。
法人税減税の廃止で生まれる財源は約34億円です。その半分を子ども支援などの重点政策に配分し、残る17億円を新設する「企業寄付促進特例税制」に割り当てることにしてます。
同特例税制は2019、20年度の2年間限りで、NPOや社会福祉法人などに年間5千円以上寄付をした法人の市民税を減額する。減額幅は寄付額の69%。河村市長は「頑張っているNPOほど資金面で苦労しているので、協力をお願いしたい」と寄付を呼びかけています。
2018年2月26日
一般企業を含む全法人がいま銀行などに新たに口座を開設する際に、居住地国等を記載した届出書の提出が必要であることを国税庁が注意を促しています。この制度は、外国の金融機関等を利用した国際的な脱税及び租税回避に対処するための国際基準である「共通報告基準(CRS)」に基づくものです。
非居住者に係る金融口座情報を税務当局間で自動的に交換するための国際基準である「共通報告基準(CRS:Common Reporting Standard)」がOECDで公表され、日本を含む各国がその実施を約束しています。
今回、国税庁が注意を呼びかけている制度もCRSの一環で、平成29 年1月1日からスタートしている制度です。同制度は、新たに国内に所在する金融機関等(銀行、証券会社、保険会社、組合、信託等)で口座開設を行う者(自然人、法人、組合等)に対し、金融機関等へ居住地国等を記載した届出書を提出しなければならないとしているものです。
届出書には具体的に、氏名・住所(名称・所在地)、居住地国、外国の納税者番号などを記載しなければなりません。ただし、法人については、「特定法人」に該当する場合にのみ同届出書を提出することになっています。
特定法人とは、次の①~⑨のいずれにも該当しない法人のことです。特定法人に該当した場合は、その法人の「実質的支配者」の居住地国等についても届出書に記載しなければなりません。
① 上場法人
② 上場法人の関係法人(子会社・孫会社・ 曾孫会社・兄弟会社)
③ 国・地方公共団体・日本銀行・国際機関等
④ 前記③の法人が全額出資している法人
⑤ 収益事業を行っていない公共法人及び公益法人等
⑥ 日本の報告金融機関等
⑦ 外国の報告金融機関等
(※)外国の法令に準拠して設立された一定の投資事業体を除きます。
⑧ 持株会社
(※)子会社の経営管理のみを行うものに限ります。
⑨ グループ金融会社
(※)主として上記②の関係にある法人に対する出資、融資等を行うことを業務とする法人。
2018年2月19日
このほど国税庁が、競馬の馬券の払戻金に関する税金の取り扱い(所得税基本通達34-1)を改正することを発表しました。平成29年12月15日の最高裁判決に従って改正するものです。
競馬の馬券の払戻金については、かつて法廷の場で国税庁と納税者との間で、馬券の購入が営利を目的とする継続的行為から生じた所得であるか否か、という観点で争われました。
結果的に、東京高裁が平成28年9月29日に「本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当しない」とする判決(最高裁平成29年12月20日上告棄却)を下しています。
昨年12月15日の最高裁判決の争点は、競馬の払戻金に対する所得税額を算定する際、当たり馬券だけでなく、外れ馬券の購入代金も経費として算入できるのではないかという点でした。結局、最高裁は「本件の競馬の馬券の払戻金については、馬券購入の態様や利益発生の状況等から雑所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費に該当する」と判断しています。
これについて、国税庁は「競馬の馬券の払戻金の所得区分については、馬券購入の期間、回数、頻度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して区分されます。具体的には、馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して定めた独自の条件設定と計算式に基づき、又は予想の確度の高低と予想が的中した際の配当率の大小の組合せにより定めた購入パターンに従って、偶然性の影響を減殺するために、年間を通じてほぼ全てのレースで馬券を購入するなど、年間を通じての収支で利益が得られるように工夫しながら多数の馬券を購入し続けることにより、年間を通じての収支で多額の利益を上げ、これらの事実により、回収率が馬券の当該購入行為の期間総体として100%を超えるように馬券を選別して購入し続けてきたことが客観的に明らかな場合は、雑所得に該当すると考えます。なお、これに該当しない『いわゆる一般の競馬愛好家の方』につきましては、従来どおり一時所得に該当し、外れ馬券の購入費用は必要経費として控除できませんのでご注意ください」と説明しています。
2018年2月19日
定期借地権を設定した際に預かった保証金から得られる経済的利益の課税に係る平成26年分の適正な利率を、国土交通省が国税庁との話し合いにより決定し、公表しました。
定期借地権の設定に伴って賃貸人が賃借人から預かる保証金は、賃借人から返還請求があるまでは、事業投資や金融投資の運用資金に充てることができることになっています。しかし、保証金を無利息で預かっている場合には、経済的利益を受けることになるため、この経済的利益に対して課税する必要性が生じます。
例えば、銀行口座に預金している場合や金銭信託などに運用している場合には、利息等から所得税が源泉徴収されるので経済的利益を気にする必要はありません。しかし、不動産所得や事業所得を生むための資金とした場合や自宅の改修など個人的な目的に使用した場合には、その経済的利益の額をどのように算定するかが問題となります。
そこで、政府は保証金に「適正な利率」を乗じた金額を経済的利益の額と定め、これに所得税を課税することにしています。その適正な利率は、平成29年中の定期預金の平均年利率(預入期間10年・1千万円以上)によるとされていることから、平成29年分については、0.02%となります。
この結果、保証金が事業等の運転資金や事業用資産の取得資金として運用されている場合について、経済的利益の額の計算に用いられる適正な利率は、平均的な長期借入利率の他、0.02%としても差し支えがないことになります。なお、算出された経済的利益の額は、各年分の不動産所得の収入金額と必要経費に同額ずつ算入されることになるため、課税関係は発生しません。
また、上記の場合に該当せず、かつ、保証金が預貯金や公社債、貸付信託等の金融資産に運用されている場合以外のときについては、適正な利率を0.02%として求めた経済的利益の額を、各年分の不動産所得の収入金額に算入することになります。
2018年2月12日
先進諸外国における税金の電子申告の実態がわかる資料を、このほど国税庁が明らかにしました。その資料からは、国税庁が電子申告の普及に躍起になっている理由を垣間見ることができます。
2018年度税制改正法案に大企業の法人税、地方法人税、消費税の電子申告を2020年度から義務化することが盛り込まれて、俄然、注目を浴びている国税の電子申告。まず、誰もが関心を寄せたのが税金の電子申告が先進諸外国では、どれだけ普及しているのかということでした。
じつは、その先進諸外国における税金の電子申告の普及状況がわかる資料が、今年1月24日に国税庁内で開催された第19回国税審議会に国税庁が提出していました。日本の場合、所得税の総申告件数に占める国税の電子申告(e-Tax)を使って申告された件数の割合は53.5%(平成28年度)ですが、その資料によると、所得税の電子申告の割合が一番高いのはオーストラリアで93%とされています。2番目に高いのはイギリスの85%、3番目がアメリカの83%となっています。
納税人口が日本の数倍あるアメリカが85%という割合は、いかに日本の電子申告の普及が立ち遅れているかがわかる数値です。
ちなみに、法人に対して電子申告を義務化している国についても、その資料で説明されています。具体的に義務化している国を見てみるとフランスとドイツ、イギリスで、いずれも全法人を対象に電子申告を義務化しています。
2018年2月12日
近畿2府4県が共同で近畿税理士会に、個人住民税の特別徴収の推進の取組みについて協力を依頼しました。近畿税理士会からは、同税理士会の支部長会議に近畿2府4県の担当課長の出席を認めてもらい、来年度から実施する取組みに関して協力を要請することができたとしています。
近畿2府4県(大阪府・滋賀県・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県)と同府県内市町村は、法令遵守と納税者の利便性の向上、そして、安定した税収を確保するため、個人住民税の普通徴収から特別徴収への切替えを推進する取組みを進めています。
また、大阪府・京都府・兵庫県・和歌山県は連携して、平成30年度から個人住民税の特別徴収義務者を一斉指定する取組みを実施することにしています。
こうした取組みを広く周知し円滑に実施するため、平成30年1月22日に大阪府・京都府・兵庫県・和歌山県の担当課長などが近畿税理士会を訪問。浅田恒博会長、芦田和典専務理事、永橋利志専務理事と面談し、近畿2府4県で進めている特別徴収を推進する取組みと来年度から大阪府などが連携して実施する個人住民税の特別徴収義務者の一斉指定への協力を依頼する近畿2府4県担当課長らの連名による「個人住民税の特別徴収の推進のご協力について」と題する依頼文書を手渡しました。
この依頼を受け、近畿税理士会は後日開催する支部長会議に近畿2府4県の担当課長の出席を要請。実際に同会議では、大阪府の財務部税務局徴税対策課長が代表して、来年度から実施する一斉指定の取組みについて説明を行い、事業主から問い合わせがあった場合の対応などについて、協力を依頼しました。
2018年2月5日
1月24日に国税庁内で開催された第19回国税審議会に国税庁が提出した資料「税務行政の現状と課題」に、納税している法人に対する実地調査の割合が平成元年は8.5%だったものが、平成28年には3.2%にまで低下しているというデータが記述されています。
そもそも国税審議会とは、外部の有識者20名以内で組織された審議会で、審判所の裁決を国税庁長官が認めない場合における審議を行ったり、税理士試験の受験資格の認定や税理士の懲戒処分等の審議を行う機関とされています。
その国税審議会に提出された今回の資料には、国税庁のマンパワーと複雑困難化する業務のアンバランスな実情が綴られています。具体的には、国税庁の定員は平成元年に5万4376人だったものが、平成5万5667人(2.4%)に増えてはいるものの、国内の法人数は平成元年に235万法人だったものが、平成28年には308万法人(30.8%)にまで増加。
さらに、経済取引の国際化・高度情報化の進展による税務調査の質的困難化も重なり、実地調査の割合は、平成元年に8.5%だったものが、平成28年には3.2%にまで低下しているとしています。実地調査サイクルを単純に計算すると、1法人の実地調査はおよそ30年に1回になると試算しています。
この実地調査サイクルを見て、税務署の税務調査を甘く見てはいけません。同資料には、法人の実地調査件数が平成27事務年度で9万4千件だったものが、平成8事務年度には9万7千件(103.5%)に増え、しかも、この調査による追徴税額も平成27事務年度が1,592億円だったものが、平成28事務年度には前事務年度比108.8%増の1,732億円でした。大口、悪質事案に絞った調査により申告漏れや脱税を把握していることがうかがえます。
2018年2月5日
国税庁がインターネット上の「国税庁法人番号公表サイト」で、今年4月から法人の商号または名称のフリガナを公表すると発表しました。読み方の難しい法人の称号や名称が分かるようになります。
国税庁は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づき、法人番号の指定、通知、公表に関する業務を行っています。そして、法人番号についてはインターネット上に「国税庁法人番号公表サイト」を開設し、国内の全企業の「商号または名称」と「本店または主たる事務所の所在地」、「法人番号」の基本三情報を公表しているところです。
同サイトで、基本三情報に基づく検索機能や二次利用可能な形式による電子的情報の提供を行うことで、官民問わず様々な用途で法人番号を活用してもらおうというのが狙いです。
このほど国税庁では、平成30年度から基本三情報に加え新たな公表項目として、各法人の商号又は名称のフリガナを公表することにしました。
この新たな公表項目は、まず設立登記法人については、法務局で今後行う登記申請の際に記載する内容です。なお、法務局での商業・法人登記申請書へのフリガナの記載は平成30年3月12日(月)から開始される予定です。
次に、設立登記法人以外の法人及び公表に同意した人格のない社団等については、税法上の届出書に記載された内容を公表することにしています。
国税庁では「平成30年4月2日(月)以降順次公表サイトでフリガナ情報を公表していく」としています。
2018年1月29日
日本年金機構が年金受給者に対して送付した「平成29年分公的年金等の源泉徴収票」の一部について、記載内容に誤りがあることが判明したと発表しました。国税庁も急きょホームページなどで、その記載誤りについて注意を喚起しています。
日本年金機構によると、年金受給者に送付した「平成29年分公的年金等の源泉徴収票の記載内容に、次のような誤りがあることが判明した」としています。
平成30年1月12日以降に「平成29年分公的年金等の源泉徴収票を年金受給者に送付したところ、一部の年金受給者の源泉徴収票について、記載された『控除対象配偶者』及び『控除対象扶養親族』の氏名(漢字氏名、フリガナ)に誤りがあることが判明した」としています。
ただし、源泉徴収票に記載された事項のうち、「支払金額、源泉徴収税額など、他の項目に誤りはない」とのことです。
こうした誤りが発生した原因については、「平成29年分公的年金等の源泉徴収票の作成に当たって、年金受給者から提出された平成29年分公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に基づき、委託契約業者が控除対象配偶者の氏名等のデータ入力処理を行いったが、その際に誤りが発生した」とのことです。
また、日本年金機構としても、委託契約業者の管理及び監督が不十分だったことを認めています。
一方、この日本年金機構の不祥事について国税庁では「源泉徴収票の記載内容に誤りがある方に対して、正しい源泉徴収票が1月末を目途に日本年金機構から再送付される予定です。正しい源泉徴収票が送付された後に、確定申告書を作成していただきますようお願いいたします。また、既に確定申告書を提出済みの方で、源泉徴収票の控除対象配偶者欄及び控除対象扶養親族欄の氏名に誤りがあり、是正が必要な場合については、税務署からご連絡させていただきます」としています。
2018年1月29日
東京都主税局が、商業地や小規模住宅用地などに課している固定資産税や都市計画税の現行の軽減措置を次のとおり継続すると発表しました。
固定資産税や都市計画税の現行の軽減措置は、次のようになっています。
①小規模住宅用地(面積200㎡までの部分)について都市計画税を2分の1減額する。
②小規模非住宅用地(面積400㎡以下の土地のうち200㎡までの部分)について固定資産税と都市計画税を2割減額する。
③商業地等(負担水準が65%を超える商業地等)について固定資産税と都市計画税の負担水準65%に相当する税額まで軽減する。
④住宅用地等(税額が前年度の1.1倍を超える住宅用地等)について固定資産税と都市計画税前年度1.1倍に相当する税額まで軽減する。
⑤耐震化のための建替え又は改修を行った住宅(昭和57年1月1日以前からら所在する家屋を建て替えた場合又は耐震改修した場合)について、
<建替え>
固定資産税と都市計画税を10割(3年度分)減額する。
<耐震改修>
固定資産税と都市計画税(1戸あたり120㎡の床面積相当分まで)を10割(1年度分)減額する。
なお、①から③については、平成30年度においても継続するとしています。④については、平成32年度まで継続。そして、⑤については、今年度税制改正で適用期限が平成31年度末まで2年延長される予定です。
2018年1月22日
このほど国税庁が、平成28年4月に作成した「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(制度概要編)」を改定しました。軽減税率は正規の税率よりも2%低いだけですが、食料品の販売業者にとっては、売り上げに大きく影響するとあって、今回のQ&Aの改定についても強い関心が寄せられています。
この1月に改定されたQ&Aは「問5、通常、食品や飲料を譲渡する場合、容器や包装を使いますが、これら容器等の取扱いはどのようになりますか。」と「問8、『飲食に用いられる設備』(飲食設備)とは、どのようなものですか。」の2つです。
まず、問5についてですが、その回答欄で「飲食料品の販売に際し使用される包装材料及び容器(以下「包装材料等」といいます。)が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、当該包装材料等も含め軽減税率の適用対象となる『飲食料品の譲渡』に該当します(以下、省略)」とされていたものに、「(注)包装材料等の販売者が、飲料メーカーに販売する缶やペットボトル、また、スーパー等の小売店に販売するトレーは、容器そのものの販売ですので軽減税率は適用されません。」という一文が加えられました。
次に問8については、参考として「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編)」の中にある「フードコートでの飲食」と「公園のベンチでの飲食」を参照するように提示していましたが、このほど同個別事例編の設問が9つ追加されたために、これまで記載されていた両設問の設問番号が変更されているだけです。
2018年1月22日
平成29年分の所得税の確定申告期が間近に迫っていることから、国税庁が今回の確定申告における留意事項をアナウンスしています。とくに気をつけなければならないのは、医療費控除の取り扱いが大幅に変わっていることです。
国税庁の調べによると、所得税の医療費控除の適用者数は183万9千人(平成17年分)としています。この数は配偶者控除の適用者数(同年分176万3千人)を上回っているだけに、国税庁も制度改正による適用ミスに対して非常に神経を尖らせているわけです。
今回の医療費控除の改正で、まず注意が必要なのは、医療費の領収書の提出・提示が不要になったことです。「医療費控除の明細書」を提出することで適用できるようになりました。健康保険組合などから「医療費のお知らせ」の交付を受けている人については、それを利用して医療費控除の明細書を作成しても構わないとされています。ただし、「医療費控除の明細書」を提出する場合、医療費の領収書については、自宅で5年間保存しなければなりません。
さらに、平成29年1月1日以後に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等(医師によって処方される医薬品から、ドラッグストアで購入できるOTC医薬品に転用されたスイッチOTC医薬品)の購入費を支払った場合には、一定の金額の所得控除(セルフメディケーション税制)を受けることができるようになりました。
問題は、このセルフメディケーション税制は、通常の医療費控除との選択適用とされていることです。したがって、セルフメディケーション税制を適用する場合は、通常の医療費控除と併せて受けることはできないわけです。
また、これらのいずれかの適用を選択した後に、更正の請求や修正申告によってこの選択を変更することもできないので医療費の額が高額になる方を見極めたうえで選択適用すべきでしょう。
2018年1月15日
昨年12月26日に発生した三菱東京UFJニコスのシステム障害により、コンビニエンスストアでの税金の収納代行サービスを同社に委託している愛知県瀬戸市で、約1万件の住民税などを納めた記録が確認できなくなっていることが分かりました。
今年1月9日、三菱UFJニコスが「昨年12月26日に弊社NICOSカードのシステム関連機器の一部が故障し、カード事業や収納代行事業の提携先等への送信業務やカード会員からの入金確認業務、利用内容等の確認業務に支障が発生しています」と発表。1月13日には産経新聞が「住民税など9500件分確認できず―愛知・瀬戸」と報じました。
三菱東京UFJニコスによると「今年1月4日からシステムは概ね正常に稼働しておりますが、現在、慎重を期すべく時間を制限して運用しており、各業務の遅延解消までにはしばらくのお時間を頂戴しております」としていて、システム機器の交換は終えている模様です。
問題は、コンビニ収納代行サービスにおいて、収納事業者への利用データの提供が遅延している点です。産経新聞によると「税金の収納代行サービスを同社に委託している愛知県瀬戸市で、約9500件分の住民税などを納めた記録が確認できなくなっている」とのことです。
また「同社は障害による公共料金などの入金データへの影響は全国で最大57万件に上るとしており、同様の自治体がほかにもあるとみられる」とも報じていて、今後他の自治体の対応次第では、納税者に税金徴収の督促状が発送される恐れがあります。
2018年1月15日
今年も国税庁が「e-Tax・作成コーナーヘルプデスク電話混雑予想」の掲載をe-Tax専用サイトで始めしました。早くも1月22日と同月29日は▲マークがついていて、非常に混雑すると予測しています。
e-Tax・作成コーナーヘルプデスクは、e-Taxソフト・確定申告書等作成コーナーの利用者が事前準備や送信方法、エラー解消などの使い方に関して分からないことがある場合に、国税庁職員が電話で応対する専門窓口(税務相談等を除く)です。
所得税の確定申告が間近に迫ったこの時期、e-Tax・作成コーナーヘルプデスクが非常に混雑することから、国税庁は利用者へのサービスとして、昨年度の実績や電話受付状況を基に、毎年、混雑状況を予想してe-Tax専用サイトで紹介しています。
e-Tax・作成コーナーヘルプデスクの通常の受付時間は、平日の月曜日から金曜日までの午前 9時から午後5時までとされていることから、毎日、9時から3時間おきに次のような記号で混雑状況を伝えています。
◎ (ほとんどお待たせすることなく電話がつながることが予想されます)
○ (比較的電話がつながりやすいことが予想されます。ただし、多少お待ちいただく場合があります)
△ (混雑することが予想されます。つながるまでお時間がかかります)
▲ (非常に混雑することが予想されます。つながりやすい時間帯にお電話されることをお勧めします)
なお、平成30年1月15日から3月15日までのe-Tax・作成コーナーヘルプデスクの受付時間は、平日の月曜日から金曜日までの午前9時から午後8時(祝日を除く)とされていているので、午後6時からの3時間に関する混雑状況についても掲載する予定です。
国税庁では、月曜日は特に問い合わせが集中することから「『e-Tax・作成コーナーヘルプデスクへのお問い合わせTOP10』をリンク先に掲載しておりますので、お問い合わせ内容が掲載されていないかご確認ください」としています。
2018年1月9日
まもなく平成29年分の所得税の確定申告期間が始まることから、所得税の医療費控除を受ける場合に必要な手続が改正されていることを国税庁がアナウンスしています。
平成29年度の税制改正で、医療費控除の適用を受ける場合に必要な提出書類の簡略化が図られ、平成29年分の所得税の確定申告から適用されます。
具体的には、これまでの所得税の確定申告においては医療費の領収書を確定申告書に添付するか、または、確定申告書を提出する際に税務署の窓口等で提示することになっていました。
こうした手続きが、医療費の領収書に基づいて必要事項を記載した「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付して提出するだけで良いことになりました。
同明細書の基本的なフォーマットは、国税庁がホームページ等で提供しています。
この改正により、医療費控除を適用する際に用いた領収書は確定申告期限等から5年間自宅等で保存することが義務づけられました。すなわち、確定申告期限等から5年間は、税務署から医療費の領収書の提出又は提示を求められる可能性があるわけです。
一方、書類の簡素化を目指していることから、医療保険者が発行するもので次の①から⑥までに掲げる6項目の記載がある「医療費通知」を確定申告書に添付すれば、「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができ、医療費の領収書の保存も不要とされています。
① 被保険者等の氏名、②療養を受けた年月、③療養を受けた者、④療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称、⑤被保険者等が支払った医療費の額、⑥保険者等の名称
2018年1月9日
国税庁がe-Tax(国税の電子申告システム)の利用者に対して「平成29年分の確定申告に関するお知らせ」をメッセージボックスに格納する時期を通知しました。
e-Taxには、国税庁からの受信通知や納付完了のお知らせ、申告期間のお知らせ等の情報が格納される利用者専用のメッセージボックスが設置されています。このメッセージボックスは、あくまでも利用者がe-Taxを立ち上げて能動的にそのボックスの中身を見に行かなければ、どのような通知が国税庁から届いているのか把握することはできません。
とくに申告期限などは見逃すと大きな損失が発生する危険性があるため、国税庁も遂次メッセージボックスの中身の確認を怠らないよう利用者に呼び掛けています。
今回は、e-Taxの利用者に対して確定申告期間のお知らせの格納時期等について、次のようにアナウンスしています。
【個人の方の場合】
平成29年分確定申告に関するお知らせについては、平成30年1月18日(木)から平成30年1月22日(月)の間に順次メッセージボックスへ格納する予定です。
【法人の場合】
前事業年度又は前課税期間において、e-Taxにより確定申告を行った法人に対して、決算月の翌月中旬に確定申告に関するお知らせ、申告期限月の上旬に法人税の予定申告及び消費税の中間申告に関するお知らせをそれぞれ格納しています。
なお、e-Taxにメールアドレスを登録しておけば、申告に関するお知らせをメッセージボックスに格納した時に、その旨のメッセージが登録しておいたメールアドレスあてに通知されるので便利です。
2018年1月4日
平成29年12月26日、国税庁が独立行政法人国立印刷局(印刷局)から「偽造収入印紙が発見された」との報告があったことを公表しました。
収入印紙とは、政府が発行する証票で、手数料や税金、罰金などの納付のために使用するもので、国税では主に印紙税を納付するときに使われています。
印刷局によると、偽造収入印紙が発見されたのは、交換請求目的で郵便局に不審な券面額200円の収入印紙(約250枚)が持ち込まれたのが事の発端でした。その後の日本郵便(株)の調査で、他の複数の郵便局においても不審な券面額200円の収入印紙(合計約500枚)が発見されたとしています。
それらの収入印紙を印刷局が鑑定した結果、偽造収入印紙であることが判明しました。
その偽造収入印紙の特徴は次のとおりです。
① 造品は、左上の模様の濃淡形状が真正なものとは異なっている(「ぼかし」がない)。
②偽造品は、下部にある「葉」の輪郭が真正なものとは異なっている(「ぼかし」がない)。
③偽造品は、券面額200円の文字の位置が真正なものとは異なっている(余白上部と接していない)。
こうした印刷局からの報告を受け、国税庁では「今回発見された偽造収入印紙と同じような特徴を有する不審な収入印紙を見つけた際は、お近くの警察署までお知らせください」としています。
2018年1月4日
公益財団法人日本財団が実施している振り込め詐欺被害者の子供たちを支援する奨学金制度について、貸与制から給付制に切り替えるにあたり、既存貸与者などの債務を免除したりした場合に発生する経済的利益に対して、このほど東京国税局が非課税とする見解を示しました。
今回、日本財団が貸与制から給付制に切り替える奨学金制度は、犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(振り込め詐欺救済法)に基づく犯罪被害者等の支援事業の担い手として選定された、犯罪被害者等の子供に対する奨学金事業のことです。
この奨学金制度について日本財団では、これまで貸与制だったものを平成29年4月1日から、奨学金の月額を減額した上で、給付制に移行。その際、既に奨学金の貸与を受けて、奨学金に係る債務を有する奨学生及び卒業生等の債務について、給付制下における給付額を上限として返済を免除することにしました。
また、奨学金の減額による奨学生の学生生活への影響を考慮し、給付する奨学金の月額がこれまでの貸与額と同額となるように、日本財団では独自のサポート制度として、貸与額と給付額の差額に相当する金銭を給付制移行後の奨学生に対し毎月給付する「学業支援金」制度を設立しています。
さらに、給付制への移行前後における奨学生間の公平性を考慮し、日本財団では独自のサポート制度として、既存貸与者が、債務免除が行われた後においてもなお奨学金に係る債務を有する場合には、その債務相当額の金銭を既存貸与者に対して給付する「残債分給付金」制度も設立しました。
ここで、問題となったのが貸与制から給付制に移行する際に免除した貸付金の返済額と「学業支援金」や「残債分給付金」が奨学生と卒業生に対する経済的利益として所得税が課税されるのではないか、ということでした。
日本財団では、所得税法第9条《非課税所得》第1項第15号に「学資に充てるため給付される金品は、給与その他対価の性質を有する一定のものを除き、非課税と規定している」ことなどを理由に「いずれも非課税となる学資金に該当する」との見解を東京国税局に示したところ、それに対して東京国税局から「貴財団が説明する事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」との回答がありました。